物語

満たされた心があれば眠ることも、何もいらないと思える。一冊の本に語られる酒、友達の気持ちが零れた夜なんてたまらない。自分が馬鹿で、でもそれしかないんだと思えた時。それが全てだ。

そんな親愛の気持に受験勉強を通じてなるなんて。辛いことに項垂れていた中で無くしかけたもの、受験や雑事で見失っていたこと。再度のこの過程で立ち返ることができた。殆ど無駄にしか思えずこなしてきた日々を、今は大げさに何の後悔もないと言える。もしもの中に作ってきた世界にはこの気持ちは無く、一人になって自分を見つめようとしても違う自分に目を向けないまま。言葉だけが空回る虚しい夜だった。

手にした熱をそのまま保つことが出来ず、揺らぎを与えてしまう。駄目なところもある、愛しいところもある。だから尊重しよう。尊敬しよう。やがて言葉が全て自分に還ってくる。物語に心震わすんだ。