誓って

自分がずいぶんと冷酷だと知る。立ち止まって忘れたふりをして、動き出して引っ張られて思い知らされる。

未だ覚悟の端も掴んでいないこと。

徒然草にあるような、すべての関わり合いを投げ捨て、信も礼儀も破ろうと進むといった決意はない。動きを止めない回遊魚の気持ちも分からない。それを得ずには全てが至らないほどの自我、本能からくるほどの意志、どちらにせよそれ程のものをもって覚悟というのなら、今在る自分がすべて下らなく思える。

心の内で自分に刻みつけることができるような、覚悟に対する明確な言葉をもっていない。むしろ言葉を持てば覚悟が理由になってしまうのではないか、だなんて誇大妄想気味な思いもある。

こんなに自分があまりに何もなく、中途半端でばかりでも、目的や希望、欲求、願い、目標、なんとも名状し難い気持ちがあってそれが捨られるものではなくとても大切なものだと、たとえ儚い幻想でも、それらの気持ちが向かう先に繋がり続く、また僕が悩みこむような気持ちがあると信じてしまった。だから一歩を踏み出したんだと思う。

先の見えない暗闇で、失敗や犠牲を想像するだけで竦みそうになる中で僕は、何か必死の覚悟をもって進み出した訳ではなく、進んでいつぐちゃぐちゃに壊れてもそれを乗り越えて成長したいと思って乗り出したんだ。どこかに何かあるのかもしれない。どこにも何もないのかもしれない。踏み出す一歩が変化を呼び、いつか覚悟に辿り着けるかもしれない。分からない。だから次の一歩が踏み込めるんだと思う。


立ち止まった意味はあったのかもしれない。