仮面浪人

大学生の自由さは受験を終えた去年の今頃が一番実感できたと思う。とにかく受験の閉塞感から解放されて、時期的にも―自分は嫌いだが―春の訪れを感じて、手を伸ばして体を動かせる、まともな感覚に向かっていく時期だったと思う。

大学が始まってから落胆するこがたくさんあり、とても憂鬱にもなったがそれまでとは違った無力さを見ることができ、ある意味心地よかった。

そんな、殆ど本当に自由な大学生が、現役や普通の浪人生とは違った立ち位置にある・・・ともすればもっと有意義な何かを味わえるかもしれない大学生が、今あえてまた受験に向かうことにどういった意味があるのだろうか。ただ煮え切らない気持ちを再確認して終わるのかもしれない。だけど今になってまだ諦められない気持ちがあるのも確かだ。受験生特有の、旅のような、寂しくて張り裂けそうな気持を抱えて自分と痛いほど向き合ってこの気持ちに折り合いをつけようとすることだけに一年を使うのも悪くないかもしれない。

去年一年の停滞感に追い詰められた切迫感が打ち勝つことを信じて。